同名映画に主演された福山雅治さんが結婚されましたね。
どうでもイイけど、あの甘い顔でアラフィフですよ、あの人?

アレでもうすぐ50代とかスゲー……。


さて、今回ご紹介させて頂く一冊は『 そして父になる 』です。

「 やっと 」でも「 また 」でもなく「 そして 」です。
意味深なタイトルですが、呼んでみると「 あーなるほどね 」って思うタイトルになっています!


  そして父になる について 

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日本の父親って、ちょっと前まで「 家族だけど家族じゃない 」みたいなとこあったじゃないですか?

平日は仕事、仕事で家に帰ってくるのは妻と子どもが寝静まってから。
朝も早くから通勤電車に揺られて、休日も休日で仕事だったり、接待だったり。

こんなステレオタイプの”忙しいサラリーマン”って父親も珍しくないのが現代社会日本。
そんな現状において父親って改めて考えると難しいポジションですよねぇ……。

辛くても弱音を吐けないし、子どもがある程度成長すると、父親なんて「 邪魔 」って言われる。


テレビドラマが創りだした父親の偶像なのかも知れませんが、それでも一生懸命働いているのに、子どもに尊敬されない父親って多いイメージです。


さて、そんなステレオタイプの父親とだらしないけど情に厚い父親の2人の子どもが入れ替わってしまったから、さぁ大変!





入れ替わってしまった子どもの処遇はどうするのか?
交換するのか?そのままなのか?それとも……?



 3行でわかる そして父になる 

エリートサラリーマンで出世街道まっしぐらだった野々宮良多の6歳になる子どもは取り違えられた赤の他人の子どもだった――。血の繋がっていない子どもと自分の血を引く本当の子ども。果たして彼らの家族はどのような決断をすることになるのか?

タイトルだけで、なんとなくイメージできるお話ですが、それでもやっぱり面白い。


エリートサラリーマンの野々宮良多に対する相手側の父親、斎木雄大はうだつの上がらない見た目はダメおやじ。


対象的な2人の選択にばかり目が行ってしまいがちですが、彼らと取り巻く”妻たちの心情”にも注目して欲しいところ。


 ちゃんとした あらすじ 

大手建設会社に勤めるエリートサラリーマンの野々宮良多は妻のみどりと6歳になる息子の慶多がいた。

エリート街道をひた走ってきた自分と比べると、息子の慶多は妻に似て優しすぎるし、リーダシップもない。

自分にはあまり似たなかったな、と思っている彼のもとにみどりが出産時に入院していた病院から連絡が入る。

それは息子の慶多は自分の息子ではなく、赤の他人だったのだ。


本当の自分の血を引く子どもは良多からすれば劣悪な環境にいた。


満足行く教育は成されず、兄妹だちも躾がなっていない。

病院側に進められ相手側の家族と息子同士を交換することになるが、その度に自分が慶多に足りないと思っていたものを血の繋がった本当の息子、琉晴に垣間見る。

しかし、そんな慶多の思いに傷つく、妻のみどり。

理想の人生を歩んでいたはずの良多の人生は”子 どもの取り違え ”のせいで少しずつ狂い始める――。


 

 作品感想 

エリート街道まっしぐらだった良多が子どもの取り違えのおかげ(?)で家族の大切さを改めて知る、というのがこの物語のコンセプトのようでした。
 

確かに子どもが小さい間は良多みたいな父親よりも雄大みたいな父親の方がいいんだろうけど、子どもが中学生になり、高校生になり、大学生になった時に果たして取り違えられた子どもは自分の出自を恨まないのか……?
 

うがった見方ですいません!


「 八日目の蝉 」でも、誘拐された娘はいつまでも本当の母親を母親として認識できず結果的に両親を恨む感じになりましたが、取り違えられた子どもはどう思うのでしょうね。


だって、明らかに家柄が違いすぎて今後、すっげぇ格差が生まれるハズ。


まぁそれでも雄大の方は貧乏だけど温かい家庭で育っているから、子どもはグレたりはするけれど、将来まっすぐ育つのかも?

うーんでも、大人になってからは、絶対に良多の教育方針に慶多は感謝することになると思うんだけどなぁ……。

 

 グッときた一言 

「そうだよな。でもな、六年間は……六年間はパパだったんだ。できそこないだけど、パパだったんだよ」

ラストのラストで良多が慶多を抱きしめて言う一言です。

タイトルが「 そして父になる 」なんだから、やっぱりこの一言こそがグッと来る一言でしょう。

今まで厳しい優しさのない自分を恥て、自分はそれでも父親として、慶多の父親として一生懸命頑張ってきたんだ、という良多の思いが溢れ出ています。

たぶん、この瞬間に良多は本当の意味で父親になったんでしょうね……。

 

 あなたも読んでみませんか? 

父親の思いばかりが注目されがちですが、その裏で子どものために一生懸命になる母親の気持ちというのも上手に表現されていて、本当に良い小説でした。


父親の方は割り切れるかもだけど、母親となるとねぇ……だって子どもと向き合う時間が長いんだから「 この子はあなたの子どもではありません! 」と言われて「 ハイそうですか 」といくわけがない。


そういった大人たちの葛藤を描く、一冊。
改めて良かったです。

割りとヘビーな一冊ではありますが、読み応えバツグンなので、気になる方はぜひどうぞ。


 作者について 

是枝裕和
日本を代表する映画監督の1人で数多くの賞を受賞している。
主な作品に『 誰も知らない 』『 空気人形 』『 そして父になる 』などがある。


佐野 晶
東京生まれのフリーライター。
ドラマや映画などのノベライズを手掛ける。
主な著書に『 ナポレオンの村 』『 トイ・ストーリー3 』などがある。


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