バブル、今の不況の日本からは考えられないほどお金が余り余ってしょうがない時代。

つい20年ほど前の話なのに、バブル後に生まれた就職氷河期の方やゆとり世代にとってはまるでお伽話のようなお話。

就職内定率は100%以上。

企業側は学生に就職してもらうために、数百万という経費をかけた……う~ん信じられない。


そう、かつての日本は豊かだったのだ。


いや、今も豊かだけどさ。
でも、みんな金ねーじゃん?
バブルの時代ってみんなちょー金あったらしいよ?

バブル世代ってみんなラクラク就職出来たわけですよ、ええ。

しかも、バイト代も今よりも馬鹿みたいに高くって、バイトの方が正社員よりも稼いでいたって今考えるとスゴイよね!


今回ご紹介する小説は、そんなバブルの時代の香りを残す宮部みゆき先生の『 返事はいらない 』です。


  返事はいらない について 

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『 返事はいらない 』はあの宮部みゆき先生の短編小説集であります。

お恥ずかしい話ですが、小生、実はこの『 返事はいらない 』が初宮部みゆき作品です。

名前は知っていたのですが、何故か今まで読む機会がなくって……。


さて、それは置いておくとして、本作品は短編小説集となっております。

表題の『 返事はいらない 』からはじまり。

『 言わずにおいて 』『 ドルネシアへようこそ 』『 聞こえていますか 』『 裏切らないで 』『 私はついてない 』

そして茶木則雄先生の解説で本書はなりたっております。


それではどのような話なのかをご説明させて頂きたいと思います。



 3行でわかる 返事はいらない 

時はバブル崩壊直後。年号が平成になってしばらくの女性の生き様を中心に描く小説だ。男にふられた腹いせで仕返しをする。以外な裏の顔を持つ小太りの女。ひょんなことから事件に巻き込まれた女などなど一筋縄ではいかない女性の顔が分かる小説。

今回、短編小説集ということで上手く3行にまとめきれていませんが、ここでネタバレを書いてしまうのはもったいない。

どんでん返しがあり、以外な結末あり、ちょっと無理があるストリートもなくはないけれど、それもまた面白いのがこの本の良いところなので、なるべくならネタバレは控えたいので、このようなまとめになってしまいました。

ごめんなさいm(_ _)m

本格的な作品の中身がみたいという方は、下記よりネタバレも含んだあらすじを書かせて頂きます!

 

 ちゃんとした あらすじ 
『 返事はいらない 』

付き合っていた男に振られたばかりの女は自殺を試みて登ってきた屋上に歳の離れた夫婦がいた。


2人に自殺を止められ、自分の話を聞いてもらっているうちに、彼女はある大きな”世直し”の協力をすることになる。

それは大手銀行の穴を突く、奇妙な強盗事件だった――!



『 ドルネシアへようこそ 』

地方から出てきた1人の青年は、周りの人々が浮かれている中、今日も速記の練習をする。


ただ、そんな盛り場を1人去るのは虚しく、いつも彼はイタズラで駅の掲示板に「 ドルネシアで待つ 」と行くはずのない彼には無縁のディスコの名前を書いて家路につくのだった。


そんな彼のイタズラに誰かが返事を書く「 ドルネシアに、あなたはいなかったわね 」と。


一体誰がこんなイタズラをしたのだろうか?


そして彼に、また返事が届く。

「 本当に待ってくれるの? 」


『 言わずにおいて 』

上司のセクハラ発言にブチ切れた彼女は、悩んでいた。

明日は、どんな顔で会社に顔を出せば良いのか……。


そんな彼女の前で一台の白い乗用車が事故を起こす。

運転手は死に際に彼女を見て「 あいつだ!あいつだ!やっと見つけた! 」と彼女を指さした。


しかし、彼女はそんなことを言われる筋合いはない……。

人違い?

いや違う、何か意図があってあの運転手は叫んだのだ。


『 聞こえていますか 』

おばちゃんの実家から引っ越してお父さんとお母さん、そして僕の3人での生活がはじまった。

でも、誰かが引っ越したばかりの部屋を覗いてる?


しかも、前に住んでいた人が使っていた電話には盗聴器が隠されていた!

僕が引っ越す前に住んでいたおじいちゃんは、もしかすると誰かに殺されたのかも……。


『 裏切らないで 』

ひとりの刑事が担当する事件。

刑事本部の人間のほとんどが「 自殺 」と判断する事件が腑に落ちない男は相棒と2人で自殺の裏付け捜査を続ける。

そこで浮かび上がってくる被害者の薄っぺらい人生。

果たして彼女の死は自殺か?他殺か?


『 私はついてない 』

同僚に借りた50万円の借金のカタに僕の従姉妹の姉さんはフィアンセからもらった指輪を取られてしまう。

しかも、その日はフィアンセの恩師と合う日だから指輪がないと……。

なんとか指輪の件は解決したけれど、姉さんについていってフィアンセの恩師に会ってみると「 この指輪は偽物です 」と言われて、その指輪を盗まれてしまう!


あの指輪は僕の母のものだったのに!

どうすれば良いんだ……。


 

 作品感想 

いや~面白かった!

さすがは宮部みゆき先生。

どの作品も面白かった。

平成に年号が変わってばかりということもあって、小生の知らない時代のお話でしたが、若者の意識って10年や20年たらずでこうも変わるんだなって気分にさせてくれます。

この小説には、バブル崩壊後の香りが漂っている!

小生はこれでも平成生まれなので、バブル時代のことは話でしか知りませんがみんなお金を使うことが大好きだったんですねぇ……って思いました。

登場する女性の多くは、強いけれど浅はかというか、バカというか。


小生のイメージでは、どの時代の女性も力強いものと思っていましたが、この小説の舞台になった時代の女性が、なぜ現在売れ残っているのかを考えるとなんとも腑に落ちる感じがしましたね。


作品としては、どれもしっかりミステリーをしています。


一番、意外だったのは『 ドルネシアへようこそ 』。


あらすじからも分かるように、人が死んだとか、強盗がいるとかいうお話じゃないんですが、しっかりミステリーしています。


 

 グッときた一言 

改札を抜ける。そこの伝言板いっぱいに、親しみやすい丸い文字で大きくメッセージが書かれていた。
ドルネシアにようこそ、と。 

『 ドルネシアへようこそ 』の最後の文です。

ドルネシアにあこがれていた青年が、あこがれのドルネシアへ向かう彼へあてたメッセージ。

まだJRに掲示板というものがあり( 2ちゃんじゃないよ! )。

メールが一般的でなかった時代を感じさせる一文でした。

小生はその頃はまだ赤ん坊だったので、バブルの時代をまったく知らないのですが、それでもバブルの時代に流されずしっかり生きた人もいたんだな、ということがわかってなんだか嬉しかったです。

 

 あなたも読んでみませんか? 

さすがは日本を代表するミステリー作家。
模倣犯よりもずいぶん前の作品ですが、面白かったですね~!

この方は、女性や子どもの心理を書くのがウマイ。

本書が出版された当初からずいぶんと長い時間が過ぎているため、その作品の受け取られ方も変わってしまったように思えますが、なんというか平成の歴史がそこには確かにえがかれていました。

「 平成生まれのAV女優がついにデビュー! 」とか言ってた時代がずいぶんと懐かしいように、平成もそろそろ30年を迎えようとしています。


その時代に生きる人間だからこそ、その時代のことがわからない。

もしかしたら、歴史ってそんなもんなのかも知れません。


この作品を書かれたばかりのころは、誰もが当たり前に思っていたことが20年以上もの月日が流れてやっとその時の歴史として認識されるようになったということが小生には新鮮でした。

うん、それだけでも古い本を買ってみるということは価値が有るぞ。


興味がある人は、ぜひ読まれてみてはいかがでしょうか?



 作者について 

宮部 みゆき
1987年「我らが隣人の犯罪」でデビュー。
日本推理作家協会会員でもあり、日本SF作家クラブ会員、誌幻影城ファンクラブ「怪の会」出身。

もはや日本を代表する女性作家の1人。

代表作に『 火車 』『 理由 』『 模倣犯 』などがある。



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